■交流作品■

【八百万の神/弥太郎×四築】 距離


ひとつだけ、約束をした。


――言葉は嘘になるから、全部行動で示す


 四築に対して好きとか愛してるとかそういう気持ちに嘘はないけど、仕事で言い過ぎて食傷気味の甘い言葉を信頼できない。

 そんな言葉なら必要ない…そんなような事も理由として添えて。


――四築は何も言わなかった。


 それは承認だと受け取って、その時から…あまり睦言は言ってない。






 距 離






「――四築」

 珍しく深夜に仕事を終えて帰ると、案の定寝ている四築の布団に滑り込んで背中から抱き寄せる。
 髪に顔をうずめ、匂いを嗅ぐ――四築の存在を確認するように、自分が生きていることを確認するように。

 ごく本能的な欲求に従って四築の柔らかな肢体に触れ、ひたすら抱きしめる。

 肌を伝わってくる体温、規則的な寝息、鼓動、全てに限りない安らぎを覚えて自然と目を閉じる。

「……おかえり」

「ん…ただいま」

 目を覚ました四築の指が、後ろにいる弥太郎の黒髪に埋まる。

 水を浴びて乾きかけの髪を掻き上げ、視界の端に彼の顔を認めて安堵とも笑みとも取れる吐息を漏らし、体を捻って向き合うと改めて弥太郎の頭を自らの胸に押し付けて抱きしめる。

「遅い…迎えに行くとこだった。」

「ごめん」

「いいよ…許してあげる。」

「ん…」

 いくら水で洗い流しても、微かに鼻腔をつく血の匂いは体にこびりついて落ちない。

 自分が先にやらねば命を落とす世界で、必死にもがいて生きる自分たちのような人間に与えられる僅かな安らぎ。

 それを噛み締めるように、ただただ互いの居場所を確かめ合う。それだけで幸せなのだ。





 甘い言葉も嘘めいた陳腐な台詞もいらない。

 心地好い距離で互いを感じあうだけでいい――きっと相手もそう想っていてくれる、そんな安心感と共に眠りに落ちた。




×××××××××××××

あかん楽しいわこいつら^q^q^q^q^q^q^q^q^q^


弥太郎(alice*)と四築(沙紀さんのキャラクター)のカップリングSSをメールで送りつけたもの。
最初こそ罵詈雑言の投げつけ合いから殺し合い、水と油もいいところな二人が、実はすごく似たもの同士で「どうしてそうなった」的なくっつき方をしてしまったというネ。
中の人同士が盛り上がってこんなことに…。

二人は忍者で、所属も違う癖にこんなことに。


ちょっとした解説↓

似たもの同士=考え方から境遇まで、何もかもが似たもの夫婦

迎えに行くところだった=数日家を空ける場合、宣言通りに帰ってこないとお互いがお互いを仕事先まで迎えにいってしまうという
※早く帰ってきてイチャつきたいの意

しょーがない感じのカップルです(笑)
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